音声言語医学
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聴皮質・聴放線損傷例における言語音および音の要素の認知
進藤 美津子加我 君孝
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1994 年 35 巻 3 号 p. 295-306

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抄録

一側あるいは両側の聴皮質・聴放線損傷により生じた言語音および音の要素の知覚/認知障害について明らかにするため, 神経放射線学的検査により聴皮質・聴放線の損傷が同定できた症例について, 言語音 (単音節, 単語, 文) や音の要素 (Loudness, Time, Pitch) の検査を行った.
一側の聴皮質・聴放線損傷例では, いずれも語音弁別能において損傷側耳の優位性が生じた.語音の異聴傾向については, 左右の半球とも差はなく, 同様の傾向を示した.両側の聴皮質・聴放線損傷例では, 語音の認知はほとんど不可能になった.しかし, 読話による視覚情報が加われば, 聴覚認知および理解はある程度可能になった.音の要素のうち, Loudness, Time, Pitchの各弁別課題では, Pitchの弁別がより困難であった.
したがって, 聴皮質・聴放線損傷による言語音の認知障害は, 聴覚レベルの弁別や処理機能の障害が重要な要因と思われる.

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© 日本音声言語医学会
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