1995 年 10 巻 3 号 p. 332-343
3H-TTC-909 および 3H-TEI-9090 をラットに静脈内投与後の体内分布および血漿蛋白結合率を検討するとともに,両製剤に加え 3H-TEI-7165 投与時の主要組織中代謝物濃度を比較検討した.
1)3H-TTC-909 を雄性ラットに静脈内投与後の組織内放射能濃度は,投与後5分で腎臓,肝臓に血漿のそれぞれ18倍および14倍の濃度が認められ,その他肺をはじめ大部分の組織に血漿レベル以下の広範な分布がみられた.その後,各組織の放射能は血漿とほぼ並行して消失し,特定組織への残留は認められなかった.3H-TEI-9090 投与の場合もほぼ同様な分布パターンが認められたが,脾臓の濃度は 3H-TTC-909 投与時に比べ低かった.
2)雌性ラットに 3H-TTC-909 投与後の分布パターンは,雄性ラットとほぼ同様であったが,各組織の濃度は雄性ラットに比べ2倍前後高く推移した.
3)3H-TTC-909 および 3H-TEI-9090 を雄性ラットに静脈内投与後の血漿蛋白結合率は,投与後5分でそれぞれ74.3%および83.7%を示し,その後低下し両製剤でほぼ同率となった.
4)3H-TTC-909,3H-TEI-9090 および 3H-TEF7165 を雄性ラットに静脈内投与後5分の主要組織における代謝物濃度を比較した結果,いずれの薬剤も肝臓,腎臓および肺では代謝の進んだ不活性代謝物が大部分を占めたが,血液,心臓,脾臓および脳では活性体 TEI-7165 が比較的高い割合で検出された.特に 3H-TTC-909 および 3H-TEI-9090 投与後の脳でその割合は最も高く,それそれ 58.1% および 69.9% を占めたが,3H-TEI-7165 投与ではわずか7.2%であった.