2001 年 2001 巻 688 号 p. 19-35
本研究では, 合理的な計画のためには, 人間行動の普遍性についての知識が不可欠であること, ならびに, 人間行動には量的普遍性が存在するとは考え難い一方で質的普遍性なら存在し得るであるとの認識のもと, 人間の質的普遍性を記述する種々の行動理論を概観する. それに基づき, それらの行動理論がどの様な形で合理的な計画に貢献しうるかについて考察を加える. そして, 理論実証主義, 行動変容研究, 手続き公正と信頼形成の研究, ならびに, 市場理論から社会理論への転換の重要性を指摘するとともに, 人々の態度を与件とした態度追従型計画から, 人々の社会的・公共的な意識・態度を喚起する態度変容型計画への転換が必要であることを主張する.