日本生気象学会雑誌
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キャプサイシン脱感作ラットの代謝・体温の日内変動
永坂 鉄夫菅野 康幸紫藤 治
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1984 年 21 巻 1 号 p. 29-35

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抄録

気温28℃, 連続暗環境で自由に摂食, 摂水させる条件下で, キャプサイシン脱感作 (CAP) ラットと対照 (CT) ラットの熱産生量 (M) , 熱放散量 (H) , 右心房血温 (Tat) を50時間にわたり連続測定した.M, Hの測定は間接・直接熱量測定法によった.キャプサイシン脱感作は, 麻酔ラットの腹腔内に75mg/kgのキャプサイシンを一度に投与する方法によった.CAPラットでも, Tat, M, Hの日内変動の周期はCTラットとほとんど変らないが, 夜間のTat上昇度がCTラットより大きかった.昼間のTatには両群で差がなかった.CAPラットでは, 夜間のM, Hの最大値, 最小値がCTラットより有意に大きかったが, 昼間では差が認められなかった.
以上の結果から, キャプサイシン脱感作は28℃環境下でラットの体温調節域の上限を上昇させるが, 下限については無影響であるとの結論が得られた.一般に夜間数回繰り返される著しい代謝の高進と摂食行動量がよく比例するので, CAPラットでみられる夜間の高代謝は, 報告されているように摂食に伴う行動量の増加に起因する可能性のあることが示唆された.

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