Journal of Pesticide Science
Online ISSN : 1349-0923
Print ISSN : 1348-589X
ISSN-L : 0385-1559
カルプロパミドによるいもち病菌のメラニン生合成中間体の蓄積とその作用点
倉橋 良雄新木 康夫金原 太郎Rolf PONTZEN山口 勇
著者情報
ジャーナル フリー

1998 年 23 巻 1 号 p. 22-28

詳細
抄録

カルプロパミド (ウィン®) は P. oryzaeV. dahliae などの平面培養やいもち病菌の振とう培養での菌の色素沈着を強く抑制した. そしてそれらの野生株の培養物の抽出によって白色の結晶が単離された. 薄層クロマトRf0.36付近のスポットから得られた白色結晶の化学分析値は既に報告されているシタロンのデータとよく一致した. カルプロパミド10μg/mlを処理したそれらの培養物中には多量のシタロンと少量のバーメロンが蓄積したが, 2-ハイドロキシジュグロンは検出されなかった. P. oryzae のアルビノ変異株 (P2-alb) の振とう培養にシタロンを加えると速やかに代謝され, その培養は薄い褐色となった. しかしその培養にあらかじめカルプロパミドを加えるとシタロンはあまり代謝されないで培地中に残った. P. oryzae のアルビノ変異株 (P2-alb) の平面培養の菌叢先端に局所処理したシタロンとバーメロンは黒色色素に変換されたがその着色はカルプロパミドによって阻害された. これらの試験結果はカルプロパミドが菌類メラニン生合成においてシタロン及びバーメロンの脱水反応を阻害することを示唆している.

著者関連情報
© 日本農薬学会
前の記事 次の記事
feedback
Top