Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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生化学上興味あるカルバ糖質の設計と合成
Seiichiro Ogawa
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2004 年 16 巻 87 号 p. 33-53

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抄録

カルバ糖質は真糖の炭素環状アナログであり、最近、糖鎖生化学、糖鎖生物学の分野において注目される一群の擬似糖質に属している。カルバ糖の化学構造は、ピラノース環を有する五単糖、六単糖のそれらに酷似するが、分子中にアルデヒド基あるいはケトン基が存在しないので、生体内における安定性や反応性については、還元糖と大きな違いを見せている。とくにカルバ糖アミンは、天然から得られたもの、それを参考にして合成されたもの、いずれもが、真のグリコシルアミン類に期待される性状に、化学的安定性を賦与した格好なミミックスとして興味深い生理活性を示すことが分かってきた。さらに、グリコシダーゼによって加水分解されない、N-あるいはO-結合型オリゴ糖残基を含むオリゴ糖ミミックスの設計と合成が容易に行えるようになり、それらの興味深い性質が明らかにされつつある。カルバ糖の化学は、今後、生理活性糖ミミックスや糖鎖生物学・生化学研究のツールなどの開発現場で重要な位置を占めることが予期される。

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© FCCA, Forum; Carbohydrates Coming of Age
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