1985 年 10 巻 1 号 p. 101-106
ゴマ色斑点病菌 (Entomosporium eriobotryae) に感染したビワの葉 (Eriobotrya japonica L.) (バラ科) から, 新規なジベンゾフラン系の抗菌性物質 (ファイトアレキシン) を結晶状で単離し, エリオボフランと命名した. 各種スペクトル, 化学反応ならびに生合成経路の考察から, その構造を2,4-ジメトキシ-3-ヒドロキシベンゾフランと推定した. その構造は, 別途合成した標品 (2,4-ジメトキシ-3-エトキシジベンゾフラン) とエリオボフランのエチルエーテル誘導体とが完全に一致することより決定した. エリオボフランはビワの寄生菌である灰斑病菌 (Pestalotia funerea) の生育を強く阻害したが, 各種類の非寄生菌の生育にはほとんど影響を与えなかった.