Journal of Pesticide Science
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ピレスロイド系殺虫剤サイパーメスリンの土壌中での分解と溶脱
坂田 信以三上 信可松田 正宮本 純之
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1986 年 11 巻 1 号 p. 71-79

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抄録
ピレスロイド系殺虫剤サイパーメスリンのシスおよびトランス異性体のシクロプロパン環もしくはベンジルフェニル環を14Cで標識した化合物を用いて, 土壌中での分解と溶脱について検討した. トランスおよびシス異性体を2種類の土壌に1ppmの割合で添加して好気的畑地条件に保つと, 消失半減期がそれぞれ4.1~17.6日, 12.5~56.4日の速度で分解した. 主な分解経路はエステル結合の加水分解で, ほかにジフェニルエーテル結合の開裂, フェニル環の水酸化, シアノ基の加水分解をうけ, 生成した分解物はさらにCO2まで分解したり bound 14Cを形成した. 14CO2は, シス異性体より分解の速いトランス異性体から, またシクロプロパン環14C標識体よりフェニル環14C標識体からより多く生成した. 一方, bound 14Cはシス異性体およびシクロプロパン環14C標識体からより多く生成した. 有機物含量が0.1%以下で粘土含量が1%以下の武庫砂の場合には, 処理直後に溶脱を行なうと溶出液に微量のサイパーメスリンが検出されたが, 他の土壌の場合には, 処理直後および30日間インキュベート後にかかわらず, 溶出液中にはサイパーメスリンは検出されなかった.
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