日本生気象学会雑誌
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原著
隔離病室の内壁改善が短期滞在者の生理機能に及ぼす効果―夏期での検討―
太田 ひろみ田邊 洋子西野 吉彦丸山 めぐみ片倉 賢紀松崎 健太郎李 光華小林 祥泰紫藤 治
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2008 年 45 巻 2 号 p. 73-84

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抄録

自然素材を用いた病室の内壁の改装が夏期の短期滞在者の生理機能に与える影響を検討した.島根大学医学部付属病院内の従来型隔離病室(CN)とスギ材と和紙で内壁を改装した隔離病室(RD)を使用した.両室とも病院空調に加え,昼間に個室冷房を使用した.健康な成人男子 7 名がそれぞれの病室に 24 時間滞在した.実験は平成 18 年 7 月~9 月初旬に行った.室温は RD と CN で差はなかった.個室冷房中,CN 内湿度は RD 内より 10% 低かった.昼間の CN の直腸温は RD より有意に低かった.血圧,心拍数,動脈コンプライアンスは両室で差は無かった.血漿コルチゾールレベルは CN より RD で低かった.病室改装は夏期において冷房による急激な湿度低下を抑制し,核心温の生理的上昇を妨げず,滞在者に生理的に良い効果があると考えられた.

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© 2008 日本生気象学会
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