Journal of Applied Glycoscience
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第16 回糖質関連酵素化学シンポジウム
Streptococcus mutans Dextran Glucosidaseの基質認識機構
本同 宏成大塚 博昭佐分 利亘森 春英奥山 正幸木村 淳夫
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2009 年 56 巻 2 号 p. 111-117

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抄録

Streptococcus mutans由来のdextran glucosidase(DGase)は,デキストランやイソマルトオリゴ糖の非還元末端のα-1,6結合を加水分解し,α-glucoseを遊離する保持型酵素である.またDGaseは,一次構造に基づきGH family 13に分類されることや,高い糖転移活性を示すことも明らかとなっている.本研究では,α-1,6結合に特異的に作用するDGaseの基質認識機構をX線結晶構造解析により解明した.X線結晶構造解析の結果,DGaseは(β/α)8バレル構造を持ち,その活性部位はポケット状になっていることが明らかとなった.イソマルトトリオース複合体の構造解析より,三つのサブサイト(-1~+2)が確認された.サブサイト-1において基質は多くの水素結合により認識されており,その様式はGH family 13の他の酵素と類似していた.加えてAsp60とArg398が基質のグルコース残基のO4原子と水素結合を形成しており,これらの結合が基質の非還元末端の認識に重要であると考えられる.サブサイト+1では,Lys275とGlu371が基質と水素結合しており,基質のコンフォメーションを制御していた.加えて切断されるα-1,6結合の6位のメチレン基とVal195の間に疎水的相互作用が確認され,これらの残基が基質認識に重要であることが示唆された.

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© 2009 by The Japanese Society of Applied Glycoscience
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