Journal of Pesticide Science
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スミチオンの魚類における濃縮と代謝
滝本 善之宮本 純之
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1976 年 1 巻 4 号 p. 261-271

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抄録
スミチオン, O, O-ジメチルO-(3-メチル-4-ニトロフェニル) ホスホロチオエート, 0.1ppmまたは0.02ppmを含む流水中で飼育したニジマスおよびモツゴは, スミチオンを急速に吸収し, 魚体内濃度は1~3日で最高に達するが, 濃縮率は魚種, 年齢および水中濃度によりあまり影響をうけず, 約200~250倍である. その後さらに長期間 (30日まで) スミチオンと接触させても濃縮率は増加しなかった. これらの魚をスミチオンを含まない水に移すと, 体内のスミチオンは急速に減少 (5日間で1/1,000) した. 14C-スミチオンを用いてニジマスでの代謝を調べると, スミチオンはスミオキソン, デスメチルスミチオン, デスメチルスミオキソン, 3-メチル-4-ニトロフェノールおよびそのグルクロン酸抱合体に分解し, スミチオンおよびこれらの代謝物は魚体内からすみやかに排泄された. 一方p, p′-DDTは, ニジマス中にとりこまれ, 経時的に体内のDDT濃度は増加し, DDTを含まない水に魚を移してもその濃度はほとんど減少しなかった.
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