Journal of Pesticide Science
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S-(4-Methylsulfonyloxyphenyl) N-methylthiocarbamate (Methasulfocarb) のイネ苗の生育に及ぼす影響
大森 薫渡辺 豊巾川 泰三
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1985 年 10 巻 4 号 p. 649-654

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抄録

植物成長調整作用を有する新規土壌殺菌剤メタスルホカルブ〔S-(4-メチルスルホニルオキシフェニル) N-メチルチオカルバマート, カヤベスト®, NK-191〕の稀釈液はイネ苗の根の伸長を促進し, メタスルホカルブ25, 50, 100ppmでは無処理に比べ約1.5倍の伸びを示した. メタスルホカルブを土壌処理してイネ苗を育成した場合にもイネ苗の根の伸長促進作用が認められた. メタスルホカルブ10%粉剤の土壌処理は育苗中のムレ苗の発生に対し阻止効果を示した. メタスルホカルブ10%粉剤をイネ苗立枯病を防除する際の標準薬量すなわち用土5l当り8g (原体換算で800mg) を混和処理してイネ苗を育成し移植時の生育状況を調べたところ, 無処理区に比べ第1葉鞘高が低く, このため草丈がやや低くなり, メタスルホカルブはイネ苗に対し徒長防止作用を有することが判明した. また無処理区に比し地上部乾物重/草丈比は大きく, 地上部乾物重/地下部乾物重は小さく, また葉色は濃く, 根張りは良好で根は白かった. このことからメタスルホカルブ処理により充実度の高い良質の苗が得られることが判明した. そしてこの苗の移植直後の新根の発生, 低温時の発根, 屈起力は良好でイネ苗の活着を容易にし, 移植後のイネの初期生育を旺盛にした.

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