Journal of Pesticide Science
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3, 3′-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン (NK-049) のラットにおける代謝
藤井 保男黒川 隆史石田 秀弌山口 勇見里 朝正
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1976 年 1 巻 4 号 p. 313-320

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抄録

カルボニル炭素を, 14Cで標識したNK-049を, ラットに500mg/kgの割合で経口投与し, 14Cの吸収, 排泄, 血中濃度, 組織内濃度を調べた. 投与したNK-049の約半量は吸収されずに糞中へ排泄され, また投与後4日間で, ほぼ全量の14Cが糞 (61.6%) と尿 (37.5%) に排泄された. 吸収された14Cは, 急速に各組織に分布するが, 体外への排泄も速やかであり, 特定臓器への貯留は見られず, NK-049の低毒性を裏付けるものと考えられた. 尿中代謝物は少なくとも, 13種の代謝物に分離され, そのうち10個を同定した. これは尿中14Cの90%に当たる. NK-049は, 主として, 3, 3′位の酸化および4位の脱メチル化を受けるが, NK-049-OH, 3′-カルボキシ-4-ヒドロキシ-3-メチルベンゾフェノン, 3-カルボキシ-4-ヒドロキシ-3′-ヒドロキシメチルベンゾフェノンなどの脱メチル体が尿中14Cの61.4%をしめ, 3′-カルボキシ-3-ヒドロキシメチル-4-メトキシベンゾフェノンなどの3, 3′位の酸化体が29.6%存在した. 脱メチル体は主に抱合体として存在し, 酸化体はフリーで排泄されていると推定された.

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