Journal of Pesticide Science
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トリフルオロメチルケトンをリガンドにもつアフィニティークロマトグラフィーによるマウス肝カルポキシルエステラーゼの精製
塩月 孝博Tien L. HUANGBruce D. HAMMOCK
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1994 年 19 巻 4 号 p. 321-324

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抄録

3-Octylthio-1,1,1-trifluoro-2-propanone (OTFP) に代表されるトリフルオロメチルケトンはその遷移状態アナログとしてエステラーゼによる加水分解反応を阻害する. この部分構造3-(4-mercaptobutylthio)-1,1,1-trifluoro-2-propanone (MBTFP) と8-mercapto-1,1,1-octanone (MTFO) をリガンドにもつアフィニティーゲルによるマウス肝カルボキシルエステラーゼの精製を試みた. 両アフィニティーゲルは, いずれも可溶化マウス肝ミクロゾームのエステラーゼ活性を吸着した. 溶出に用いるフリーリガンド検索のため, 阻害後の酵素活性回復を調べたところ, OTFPで阻害された酵素の活性は回復しなかったが, 短い炭素鎖をもつ3-pentylthio-1,1,1-trinuoro-2-propanone (PTFP) で阻害された場合ではほぼ完全に回復した. そこで活性の吸着したゲルから, 界面活性剤存在下PTFPで溶出を行なうとMTFO-ゲルからのみ分子量の異なる数種のタンパクが得られた. 続く透析による酵素活性回復は認められなかったが, 条件の検討により十数種存在するカルボキシルエステラーゼのアイソザイムの分離・精製の可能性が示唆された.

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