Journal of Pesticide Science
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昆虫ニコチン性アセチルコリン受容体/イオンチャンネル複合体の薬理的性質とこれらに対するニコチノイドおよびネオニコチノイドの作用の相違
冨澤 元博大塚 博子宮本 徹Mohyee E. ELDEFRAWI山本 出
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1995 年 20 巻 1 号 p. 57-64

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抄録

ミツバチ頭部膜画分を用い, [3H]α-ブンガロトキシン (α-BGT) および [3H] フェンサイクリジン (PCP) をプローブとしたラジオレセプターアッセイにより各種リガンドの作用を検討した結果, 昆虫ニコチン性アセチルコリンレセプター (nAChR)/イオンチャンネル複合体の薬理的性質はシビレエイのそれと大きく異なることを認めた. すなわち昆虫では供試したコリン作動性アゴニストは [3H]PCP結合を増加させず, また脊椎動物でイオンチャンネル内のアロステリック部位にのみ結合するPCPが [3H]α-BGT結合をも阻害した. [3H]α-BGT結合の飽和実験の結果は, ニコチン, PCPがα-BGTと同様アセチルコリン (ACh) 認識部位に結合することを示したが, さらにニコチンは [3H]α-BGT結合のみならず [3H]PCP結合をも強く阻害した. [3H]-PCPはシビレエイでは単一部位に結合したが, 昆虫では高親和性部位と低親和性部位の二つの結合部位が存在し, 前者はイオンチャンネル内のアロステリック部位, 後者はACh認識部位に相当することを推定した. ニコチン, アナバシン, ニテンピラムはACh認識部位とアロステリック部位の双方に結合する一方, イミダクロプリド, 6-Cl-PMNI, アセトアミプリドはACh認識部位に選択的に結合した. イエバエに対してPCPはニコチンと同程度の殺虫力を示したが, 中毒症状は異なり, ニコチンやイミダクロプリドは興奮作用を示したが, PCPは麻酔作用を示した.

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© 日本農薬学会
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