Journal of Pesticide Science
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コムギの成長と登熟におよぼす5-アミノレブリン酸の影響
駱 柄山堀田 康司屈 映蘭趙 剄松田中 徹竹内 安智近内 誠登
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1998 年 23 巻 3 号 p. 300-303

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抄録

著者らは, 低濃度の5-アミノレブリン酸 (ALA) が, 高濃度における除草活性とは逆に, 成長促進を中心とする多様な植物成長調節作用を持つことを見出している. 今回, コムギの生育と収量に及ぼすALAの影響について種子処理, 生育期処理, 開花期処理の三つの条件について検討した. さらに, 小穂を用いた培養試験を行い, ALAの作用性についても若干の考察を加えた. 種子処理では幼植物の初期の生育が促進されたが, その効果は持続せず, 収量増に対してはわずかであった. 生育期の茎葉処理では苗の生育や分げつに対する促進効果が観察され, 10ppmの処理で16%の収量増加が得られた. 開花期の処理では穂当たりの着粒数と1000粒重の増加が観察され, 体系的な処理等, 実用的な側面からの検討に興味が持たれた. また, 小穂培養試験により, ALAが糖の転流や蓄積, 多糖類の生成にも関与している可能性が示唆され, 作用機作の面からも興味が持たれる.

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© 日本農薬学会
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