抄録
ジフェニルエーテル系除草剤 Bifenox (Modown®, Methyl 5-(2,4-dichlorophenoxy)-2-nitrobenzoate) の土壌中における分解経路と, 土壌条件による分解の相異について, 3種類の水田土壌および1未耕地心土を用い, 室内実験により研究した. 水田土壌中で14C-Bifenox (ニトロベンゼン環標識) を分解させると, 湛水条件下では速やかに分解し (半減期4日), 土壌間であまり差はなかった. 分解生成物は, エステルが開裂した遊離酸と, エステルおよび遊離酸のアミノ誘導体が主体で, そのほかにアミノ体のアセチルおよびホルミル化合物, ニトロ基が水酸基で置換したサリチル酸誘導体などが検出された. 畑地水分条件下でも比較的速やかに分解し (半減期6日), 主生成物は遊離酸で, アミノ誘導体は検出されなかった. 一方, 未耕地心土を用いると, 湛水条件下でも畑地条件下でも, 分解の様相は畑地条件下の水田土壌中における分解と類似していた. これら土壌要因による分解の相異について考察した.