1982 年 7 巻 2 号 p. 199-201
著者らは除草剤CMPTの属間選択性を解明する目的で, 14C-CMPTを用いてコムギ体内における代謝を調べた. 水耕法により生育した三葉期のコムギの地上部を14C-CMPT水溶液 (400ppm) に1時間浸した後, さらに5日間栽培した. 茎葉のエーテル画分から, 主要な代謝産物としてN-(5-chloro-4-hydroxymethyl-2-thiazolyl) propanamide (CHMPT) と5-chloro-4-methyl-2-thiazolamine (CMAT) を, 標品の tlc およびMSデータと比較することにより確認した. また, 水層から主要な代謝産物として, CHMPT glucoside をMS (FD) から推定した. 植物における芳香環に置換したメチル基のヒドロキシル化はまだ例が少なく, 選択毒性の観点から興味深い.