Journal of Pesticide Science
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Chlobenthioazone のいもち病菌感染過程に及ぼす影響
Chlobenthiazone のイネいもち病防除機構 (第2報)
井上 悟植松 多聞加藤 寿郎
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1984 年 9 巻 4 号 p. 689-695

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抄録

イネいもち病防除剤 Chlobenthiazone (S-1901) の本病原菌感染過程への影響をオオムギ幼苗を用いて検討した. 本薬剤は低濃度で付着器からの穿入糸形成過程を阻害するとともに, 付着器の褐変化 (メラニン化) 過程も同じように低濃度で阻害した. また, それらの阻害程度は, 防除効果の程度ともよく相関した. しかし, 胞子発芽, 発芽管伸長および付着器形成の各過程は, 高濃度でも阻害されなかった. 一方, 本薬剤は, メラニン化した付着器のいもち病菌に処理をした場合および植物体への侵入に付着器を必要としない傷接種の場合には, 高濃度でも防除効果を発揮しなかった. 以上の実験結果から, 本薬剤のイネいもち病菌感染過程における作用機構は, 付着器のメラニン化阻害による穿入糸の形成阻害であると考えられる.

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© 日本農薬学会
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