2011 年 84 巻 9 号 p. 308-312
合成アントシアニン色素である2-ヒドロキシ-4'-メトキシカルコン(HMC)は植物色素と同様の骨格を有しており,安全で環境負荷の少ないフォトクロミック材料として期待されている。本論文ではHMCをドライ条件で活用することを目的に,Al含有メソポーラスシリカ(MPS)とHMCの複合体を調製してそのフォトクロミック特性を検討した。
Alを含まないMPSの複合体では,313 K,95%RHの遮光条件に7日間保管することで鮮やかな黄色が消色した。またUV-A光の照射によって初期の50%の着色度まで回復した。一方,MPSにAlを含有させることによってHMCの吸着量を増加させることが可能であった。しかしながら,Alの含有は色素のFV+型(黄色)からt-C型(無色)への変換を起きにくくすることが明らかになった。