日本臨床外科学会雑誌
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症例
穿刺吸引細胞診が有用であった乳房原発神経鞘腫の1例
渡瀬 智佳史森島 宏隆三輪 秀明小田 直文長谷川 順一松並 展輝
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キーワード: 乳腺, 神経鞘腫, 複数
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2015 年 76 巻 5 号 p. 944-949

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抄録

66歳,女性.左腎癌術後経過観察中のCT検査で右乳房内に徐々に増大する腫瘤が認められた.右乳房に疼痛・圧痛や腫瘤を認めず,領域リンパ節も触知されなかった.マンモグラフィーは両側ともcategory 1であった.超音波検査では右乳房D領域に9.3mmでD/Wが大きい境界明瞭な楕円形腫瘤を認め,内部低エコーで後方エコーはやや増強していた(category 3).穿刺吸引細胞診では紡錘形細胞の集塊と鋭角状の突出があり,神経鞘腫を強く疑った.針生検では紡錘形細胞が柵状配列を形成し,VimentinおよびS-100蛋白が陽性のため神経鞘腫と診断した.診断的治療目的で腫瘍摘出術を施行.病理組織診断は二つの隣接する良性の神経鞘腫であった.乳房原発の神経鞘腫は自験例を含め47例と非常に稀であり,若干の文献的考察を加え報告する.

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© 2015 日本臨床外科学会
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