脳と発達
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シンポジウム2:発達性読み書き障害(dyslexia)診断と治療の進歩:医療からのアプローチ
脳機能における特徴
北 洋輔
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2015 年 47 巻 3 号 p. 194-197

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抄録

 発達性ディスレクシア (developmental dyslexia ; DD) に関する脳機能研究について概観した. 脳機能研究は, 文字の読みそのものに関わる脳機能の検討と, 読みを支える認知的要因の検討の二つに大別され, 後者はDDの病態解明を目指すアプローチとされる. 我々は後者に着目し, 日本語話者のDDの病態解明に取り組んでいる. 音韻処理に関わる脳機能研究からは, 大脳基底核など日本語独自の病態が示唆される一方, 大細胞系視知覚に関わる研究からは, アルファベット語圏と共通する病態の存在も見出された. これらから, 日本語話者のDDの病態にいくつかのサブタイプが存在することが示唆されるとともに, 今後はサブタイプに応じた適切な治療や教育の選択が期待される.

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© 2015 一般社団法人日本小児神経学会
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