ネットワークポリマー
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総説
改質剤ポリマーのin situ 生成を利用したエポキシ樹脂等の強靭化
大山 俊幸
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2015 年 36 巻 5 号 p. 211-222

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抄録

ラジカル重合可能な改質剤ポリマーをモノマーの状態でエポキシ樹脂に添加・溶解し,エポキシ樹脂の硬化と並行して改質剤モノマーのラジカル重合を行うことによって硬化物の強靭化を達成する「in situ 重合法」について,最近の研究成果を紹介する。In situ 重合法では,硬化樹脂内における改質剤の分散性が大幅に向上し,その結果として硬化物の強度低下等を抑制しつつ強靭化することが可能となる。また,改質剤添加時の未硬化樹脂の粘度低下や,改質剤ポリマーを別途合成し準備しておく必要がないこともin situ 重合法の利点である。高耐熱性ビニルポリマーであるN- フェニルマレイミド-スチレン共重合体(PMS)などのin situ 生成により,酸無水物硬化,アミン硬化,およびフェノール硬化エポキシ樹脂の強靭化が可能であり,さらにカチオン重合硬化脂環式エポキシ樹脂についてもin situ 重合法が適用可能であることが示された。また本稿では,エポキシ樹脂以外の熱硬化性樹脂(ベンゾオキサジンおよびシアナート樹脂)へのin situ 重合法の適用による樹脂硬化物の強靭化についても簡単に紹介する。

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© 2015 合成樹脂工業協会
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