2015 年 51 巻 7 号 p. 1177-1180
歯牙腫はその大半が顎骨中に発生するとされ顎骨外に発生する症例は大変まれである.今回,頬粘膜に発生した1 例を経験したので報告する.症例は,日齢13 の男児,在胎41 週1 日,3,462 g で出生.出生時より右頬粘膜部に腫瘤を指摘されていた.哺乳,体重増加は良好で日齢13 に精査加療目的に当科に紹介された.腫瘤は径20 mm 大の弾性硬の有茎性腫瘤で右頬粘膜部を占拠していた.超音波検査では内部に石灰化を伴う類円形の低エコー像を示した.腫瘤の頭蓋内進展を検索するため頭頸部CT 検査を施行すると頭蓋内への進展はなく,口腔内に突出するように存在する石灰化を伴う15×10×17 mm 大の腫瘤を認めた.上顎体の疑いで生後3 か月に全身麻酔下で腫瘤を全摘出した.病理組織学検査で骨外性歯牙腫と診断された.術後経過は良好で現在外来通院中である.骨外性歯牙腫は大変まれな疾患であるが口腔内腫瘤の鑑別の1 つとして考慮すべきである.