食品衛生学雑誌
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ポリウレタン,ナイロンおよび布製玩具中の芳香族第一級アミン類および着色料の調査
阿部 裕 山口 未来六鹿 元雄穐山 浩河村 葉子
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2016 年 57 巻 2 号 p. 23-31

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抄録

国内で流通するポリウレタンおよびナイロン製玩具中の芳香族第一級アミン類(PAAs) 28成分の残存量および溶出量をLC-MS/MSを用いて測定した.また布製玩具のPAAsおよび着色料15成分については,欧州規格EN71を参考にLC-MS/MSもしくはLC-TOF/MSを用いて溶出量および残存量を測定した.ポリウレタン製玩具34検体では,12検体から2,6-ジアミノトルエンおよび2,4-ジアミノトルエンが同時に検出され,残存量はそれぞれ2.1~19.7および7.6~39.6 μg/gであった.また9検体から4,4′-ジアミノジフェニルメタン(4,4′-MDA),1検体からアニリンが検出され,残存量はそれぞれ0.2~8.7および0.4 μg/gであった.ナイロン8検体ではいずれのPAAsも検出されなかった.ポリウレタン製玩具について水を用いた溶出試験を行った結果,3検体から4,4′-MDAの溶出が認められ,溶出量は0.4~2.5 μg/gであった.一方,布製玩具43検体ではいずれのPAAsも溶出は認められなかったが,1検体から着色料のSolvent Yellow 1およびBasic Red 9が検出され,残存量は各0.02 μg/gであった.本研究で残存が認められたPAAsおよび着色料はいずれも欧州連合における濃度限度値よりも低い値であった.

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© 2016 公益社団法人 日本食品衛生学会
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