AUDIOLOGY JAPAN
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「難聴の遺伝子診断」「先天性一側性難聴をめぐる諸問題」
遺伝学的検査が有用であった小児の残存聴力活用型人工内耳症例
熊川 孝三熊谷 文愛射場 恵阿部 聡子三澤 建加藤 央武田 英彦原田 綾山田 奈保子鈴木 雪恵宇佐美 真一
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2014 年 57 巻 2 号 p. 135-142

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抄録

要旨: ミトコンドリア3243点変異による高度難聴を呈した6歳の小児に対し, 既存補聴器を併用した聴力保存型人工内耳埋め込み手術を経験し, 17カ月にわたって経過観察を行った。右耳の既存補聴器と人工内耳併用によって, CI-2004幼児用3語文で100%, 同学童用3 ~ 5語文で90%の聴取が可能となり, 左補聴器との bimodal 聴取が可能となった。術後17カ月目では 125, 250, 500Hz の3周波数の域値上昇の平均値は 6.7dB にとどまった。既存補聴器を用いることで EAS 専用スピーチプロセッサの音響刺激機能を補完できた。低音域に残聴があるが既知の高度難聴を来しうる難聴遺伝子変異を有しており, かつ, 進行性が予想される場合には小児においても聴力保存型人工内耳の適応が検討されても良いと考える。

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© 2014 日本聴覚医学会
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