分析化学
Print ISSN : 0525-1931
分析値の信頼性の確保と新たな分析法の提案:報文
固相ディスク捕集/ガンマ線スペクトロメトリーによる雨水中の短寿命放射性核種分析
小池 裕也炭山 裕彰小田切 裕輔乾 哲朗岩鼻 雄基栗原 雄一中村 利廣
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2013 年 62 巻 6 号 p. 507-512

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抄録

雨水中の放射性核種分析は,試料水を蒸発乾固もしくは吸着捕集法等で前処理してから測定する方法が一般的である.しかし,前処理に長時間を要するため短寿命放射性核種の分析には向いていない.そこで,迅速・簡便に金属類を分離濃縮できる固相ディスクで雨水中の放射性核種を濃縮し,γ線スペクトロメトリーで分析を試みた.全金属類を回収するため2種類のイオン交換樹脂ディスクを使用した.雨水を通水したディスクのγ線スペクトルより,天然放射性核種の7Be,212Pb,214Pb,212Bi,214Bi及び人工放射性核種の131I,134Cs,137Csを検出できた.原子吸光光度分析により雨水試料を用いて添加回収実験を行った結果,ほぼ100% の回収率が得られた.この方法は,試料採取終了から測定開始までを最短30分程度で実施できるため,陽及び陰イオン交換樹脂ディスクに濃縮される元素の放射性同位体であれば短寿命核種の分析に有利である.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2013
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