2011 年 65 巻 1 号 p. 298-303
本研究の主な目的は、微粒分を多く含む石灰石粗骨材を用いたコンクリートの基礎的性状を調べることである。この論文では、石灰石粗骨材が最大30%までの微粒分を含有していることを想定して、その分の微粒分を石灰石微粉末で代用したコンクリートの断熱温度上昇量や熱膨張係数に加え、初期材齢から長期材齢までの圧縮強度・割裂引張強度性状を報告する。簡易断熱温度上昇試験の結果より、微粉末量による終局断熱温度上昇量への影響がないことを実験的に確認した。また、石灰石微粉末量の違いによる熱膨張係数の変化はほとんどみられないが、一般的なコンクリートより顕著に小さい結果となった。さらに、初期材齢における割裂引張強度は圧縮強度に比べ、石灰石微粉末による強度発現の割合が大きいことが明らかにされた。