2014 年 85 巻 3 号 p. 301-307
トウモロコシ雌穂(イアコーン)サイレージ(ECS)を乳牛に給与し,ECS給与が乾物摂取量,乳量,乳成分および乳中揮発性成分に及ぼす影響を検討した.試験1では牧草サイレージ(GS)を,試験2ではGSとトウモロコシホールクロップサイレージ(CS)を併給粗飼料源とし,各試験ともホルスタイン種泌乳牛6頭を供して,飼料中の圧片トウモロコシ(FC)の全量をECSで代替したECS区,半量を代替したMIX区,ECS無給与のFC区に3×3のラテン方格法で配置した.いずれの試験においても,乾物摂取量,体重変化,乳量,乳成分,血液性状に処理による有意差は認められなかった.乳中揮発性成分であるγ-デカラクトンとγ-ドデカラクトン含量は,GSを粗飼料源とした試験1においてはECS区がFC区よりも有意に高かった(それぞれP=0.01,P<0.01).ECSのFC代替給与は乳量,乳成分には影響を及ぼさないものの,乳中のラクトン類に影響を及ぼすことが示唆された.