痛風と核酸代謝
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原著 2
降圧薬服用者における尿酸管理の現状
榊 美奈子土橋 卓也
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キーワード: 尿酸, 降圧薬, 高血圧
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2013 年 37 巻 2 号 p. 103-109

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抄録

高尿酸血症は心血管病の独立した危険因子であることが報告されている.高血圧患者は高率に高尿酸血症を合併することから,高血圧患者における積極的な尿酸管理の重要性が強調されているが,降圧薬服用者における尿酸管理状況は明らかではない.そこで,降圧薬服用者667名(平均年齢66.4歳)を対象として尿酸管理の現状と降圧治療との関係について検討した.
降圧薬の使用状況に関しては,Ca拮抗薬,ARBを中心とした平均2.3剤の併用療法が行われ,アルドステロン拮抗薬を除く利尿薬は22.0%で服用していた.血清尿酸値は平均5.6mg/dLで,高尿酸血症(血清尿酸値が7mg/dLを超えるまたは尿酸降下薬服用者)合併者は23.4%,血清尿酸値6mg/dL以下の達成者は全体の63.1%であり,尿酸降下薬は15.4%に投与されていた.3剤以上の降圧薬服用者では利尿薬の服用頻度が52.5%と高く,高尿酸血症の頻度も37.3%と高いことから,多剤降圧薬服用者における高い利尿薬服用率が高い高尿酸血症合併率の要因である可能性が示唆された.利尿薬服用者の24.5%は尿酸降下薬を服用していたが,血清尿酸値6mg/dL以下の達成者は51.0%にとどまった.
降圧薬服用者の尿酸管理は不十分であり,多剤降圧薬服用者では利尿薬の服用頻度が高く,尿酸管理が不十分であった.生活習慣修正の指導と尿酸代謝に配慮した降圧薬の選択,より適切な尿酸降下薬の使用が必要と考えられた.

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© 2013 一般社団法人 日本痛風・核酸代謝学会
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