園芸学研究
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栽培管理・作型
冬季の日没後または日の出前の昇温処理がスプレーカーネーションの開花,収量および切り花形質に及ぼす影響
馬場 富二夫石井 香奈子武藤 浩志稲葉 善太郎
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キーワード: 収穫本数, 側枝, 到花日数
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2013 年 12 巻 4 号 p. 389-396

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抄録

スプレーカーネーション(Dianthus caryophyllus L.)の効率的な夜温管理法を確立するために,‘ライトピンクバーバラ’(‘LPB’)と‘チェリーテッシノ’(‘CT’)を供試し,日没後および日の出前の4時間を17℃に昇温,その他の夜温を10℃に設定し,10℃一定夜温と比較した.さらに日没後昇温後の夜温を5℃にした区を設定し,生育,収量および切り花形質を調査した.日没後および日の出前いずれの昇温においても,同等に到花日数が短縮し,冬季の収穫本数が増加した.しかし,日の出前の昇温では切り花重が軽く,花らい数が減少するなどの切り花形質への悪影響がみられた.昇温後の夜温管理では5℃の場合,10℃一定区に比べて消費熱量が少ないにもかかわらず,到花日数が短縮し,収穫本数は同等で,コスト削減効果が高いと考えられた.以上の結果から,‘LPB’,‘CT’ともに夜間の短時間昇温処理により到花日数が短縮し収穫本数を増加させるが,切り花形質の点から日没後の昇温が効果的であり,昇温処理後の夜温を低くしても同等の生育でコスト削減効果が認められることが見いだされた.

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© 2013 園芸学会
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