2013 年 27 巻 4 号 p. 483-488
両側性同時性悪性胸膜中皮腫の診断に対してFDG-PET,対側胸腔鏡が有用であったので報告した.症例は59歳男性.石綿ばく露歴があった.健診の胸部X線にて左肺野に異常影を指摘された.胸部CTで左胸水および右胸膜の肥厚が認められ,FDG-PETでは右胸膜の肥厚部に軽度集積が認められた.左胸水細胞診にて悪性胸膜中皮腫の診断となり,当センターに紹介となった.左胸腔鏡検査では多数の小隆起が認められ,生検にて上皮型胸膜中皮腫の診断となった.右胸腔鏡検査では,プラーク様の胸膜肥厚を認め,生検にて上皮型胸膜中皮腫の診断となった.両側I期(IMIG分類)の診断で,手術療法の適応はないと考え,現在全身化学療法中である.結語:早期病変であっても,対側にも病変がある可能性は否定できないと考えられる.FDG-PET,対側胸腔鏡検査は手術療法の適応を考える際には,考慮すべき検査であると考えられた.