日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
肺原発無色素性悪性黒色腫の一切除例
守尾 篤葛城 直哉中原 和樹鈴木 健司
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2014 年 28 巻 2 号 p. 241-248

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抄録

症例は69歳男性.検診にて胸部異常陰影を指摘され当院を受診した.胸部CTにて右S2に辺縁整な径2.2×2.0 cm大の腫瘍を認め,気管支鏡下肺生検を施行し原発性肺癌の診断を得て,胸腔鏡下右上葉切除,縦隔リンパ節郭清を施行した.術後の免疫組織学的検討から無色素性悪性黒色腫と診断した.皮膚,網膜,咽喉などの全身検索を行い,上部下部消化管内視鏡検査およびFDG-PET検査を施行したが,原発を示唆する異常所見を認めなかったため,肺原発無色素性悪性黒色腫と診断した.術後15ヵ月経過しているが,無再発生存中である.肺原発悪性黒色腫は現在までに27例が本邦で文献報告され,治療は大半が切除されている.予後は非常に不良で多くが一年以内に死亡しているため,術後は十分な経過観察が必要である.

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