日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
肺切除後術側のみに好酸球性肺炎を生じ,原因として生体用接着剤が疑われた1例
増田 佳子山田 竜也丸塚 孝最勝寺 哲志
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2014 年 28 巻 4 号 p. 471-476

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抄録

81歳女性.右肺癌に対し,右下葉切除術を施行した.術中,中葉から気漏を認めたため,縫合後,フィブリノゲン加第13因子(ベリプラストP®)と吸収性組織補強材(ネオベールシート®)を使用した.しかし気漏が止まらなかったため,フィブリノゲン配合剤(タココンブ®)を使用して手術を終了した.術後6病日に38℃台の発熱があり,CTにて右中葉にすりガラス陰影を認めた.術後肺炎を疑い抗菌薬投与を開始したが病状が改善しなかったため,気管支鏡検査を施行した.気管支肺胞洗浄液中の好酸球分画が66.2%と著明に上昇していた.急性好酸球性肺炎と診断し,投与中の薬剤をすべて中止したが改善がみられなかったため,ステロイドを開始した.ステロイド開始2日後に解熱し,炎症所見および酸素化の改善を認めた.その後再燃はみられていない.片側性に発症する好酸球性肺炎は稀であるが,術後肺炎の鑑別診断の一つとして念頭に置くべきである.

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