日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
頸部切開に胸骨縦切開を加えて摘出した縦隔内甲状腺腫の1例
田中 真井野川 英利橋本 好平前田 宏也
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2014 年 28 巻 6 号 p. 827-831

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抄録

症例は56歳男性.20年前に甲状腺腫を指摘され,他院にて腺腫様甲状腺腫と診断され経過観察されていた.ここ数年左頸部の腫瘤は徐々に増悪し,最近になり呼吸困難を自覚してきたため近医受診した.胸部CT検査にて甲状腺両葉の著明な腫大とそれによる左右からの気管圧迫狭窄を認めたため当院紹介となった.甲状腺左葉は体表に向かって約12 cmに腫大しており,右葉は後縦隔に進展し気管分岐部まで達していたため縦隔内甲状腺腫として手術を施行した.頸部横切開を置き,頸部からの操作で腫瘍摘出を試みた.甲状腺左葉は摘出可能であったが後縦隔内に進展している右葉は頸部からのアプローチでは剥離困難であったため胸骨縦切開を追加し甲状腺腫を摘出した.病理組織診断は腺腫様甲状腺腫であった.術後経過は良好で術後9日目に退院となった.頸部切開に胸骨縦切開を追加し摘出した縦隔内甲状腺腫の1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.

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