日本気管食道科学会会報
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特集:気管食道科領域における切除不能癌の対応
気管食道科領域における切除不能癌について
川端 一嘉三谷 浩樹米川 博之福島 啓文佐々木 徹新橋 渉田中 宏子
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2013 年 64 巻 5 号 p. 313-319

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抄録

気管食道科領域において切除不能と考えられる状況は,頭頸部癌についてみると,1)頸動脈,腕頭動脈などの血管浸潤,2)気管浸潤,3)深頸部浸潤の状態がポイントとなる。動脈壁浸潤については,CT,MRIなどの画像で一般に腫瘍と動脈壁の最大接触角度が270度を超えると切除不能とされ,180度以下であれば切除可能とされるが,実際には,360度腫瘍に取り囲まれているものでも動脈壁に浸潤が見られないものもあるため,これだけで判断することは困難なことがあり,特に甲状腺癌など扁平上皮癌以外の腫瘍では,この基準だけでは判断をあやまる場合もあることに注意する必要がある。
また,気管浸潤については,皮弁を用いることによって気管の全切除に対しても対応が可能であり,腫瘍の性質とその他の部位での根治性を考慮に入れたうえで切除不能かどうかを判断する必要がある。
深部浸潤については,深頸筋の深部への進展が椎骨や腕神経など,深部組織に進展する場合は根治切除不能と考えられる。

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