2014 年 23 巻 1 号 p. 65-70
症例は38歳女性で, 4年前に右聴力低下を発症し徐々に進行していた. 頭部CT上右側頭骨に腫瘍を認め, 前医にて外耳道経由で生検を行いchondroblastomaと診断された. 右聴力低下以外に神経学的異常所見は認めなかった. 頭部CT上右側頭骨内に37×34mm大の腫瘍が存在し下顎関節突起の一部に破壊像を認め, 内耳道と三半規管にも浸潤を認めた. 顔面神経モニターを用い, 機能温存可能な範囲で腫瘍を可及的に切除した. 術後一過性に軽度顔面神経麻痺を認めたものの改善した. それ以外の新たな神経脱落症状はなく独歩退院となった. 最終的な病理学的診断は生検と同様でchondroblastomaであった. 側頭骨に発生するchondroblastomaはまれな骨腫瘍であり, 過去の報告を渉猟し検討した.