日本外科系連合学会誌
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症例報告
原発巣切除後24年目に肝転移をきたした膵神経内分泌腫瘍の1例
高橋 遍上田 和光安西 紘幸安田 幸嗣三島 英行酒向 晃弘丸山 常彦杉田 真太郎奥村 稔
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2013 年 38 巻 2 号 p. 361-366

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抄録

症例は64歳,女性.1988年に膵神経内分泌腫瘍に対し,当院にて膵頭十二指腸切除を施行した.2012年4月に急性膵炎にて緊急入院し,急性膵炎の精査中に肝S7に腫瘍性病変を認めた.画像所見からの確定診断は困難であったため,肝生検を施行した.免疫染色ではchromograninA(+),synaptophysin(+),CD56(+),hepatocyte(-),pankeratin(+),CK7(-)を示し,神経内分泌腫瘍の染色動態を呈した.術前検索にて肝外病変を認めず,肝S7部分切除を施行した.病理組織学的には原発巣に類似した組織像を呈し,既往の膵神経内分泌腫瘍による肝転移の診断を得た.

本症例は膵神経内分泌腫瘍切除後の遠隔転移再発までの期間としては最長であった.原発巣切除後,長期間経過後に肝転移再発をきたした稀な症例を経験したので,文献的考察を交えて報告する.

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© 2013 日本外科系連合学会
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