日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
尿管動脈瘻と吻合部動脈瘤への血管内治療の1例
御厨 彰義保科 克行加藤 雅明大久保 修和
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2012 年 41 巻 3 号 p. 144-147

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抄録

症例は79歳男性.1999年に腹部大動脈瘤に対して瘤切除,Y型人工血管置換術を施行していたが,その後中枢側吻合部と左脚吻合部の吻合部瘤を指摘された.2008年2月より血尿を認め,尿管(腸骨)動脈瘻の診断で紹介された.感染リスクもあり開腹手術をすすめたが,すでに開腹手術の既往があり,また慢性心不全,腎不全があるため開腹手術はリスクが高く,また患者も血管内治療を希望したため,ステントグラフト脚をoff-labelで用い,瘻のsealingを行った.術中造影ではリークを認めなかった.術後炎症所見が鎮静化したのを確認し,1カ月後に中枢吻合部瘤に対して大動脈カフをoff-labelに用いて瘤のexclusionを行った.計2回の再治療を行い,最終的にエンドリークは消失した.退院後は瘤関連合併症を認めなかったが,4カ月後に感冒から肺炎の悪化を認め死亡した.尿管動脈瘻および吻合部瘤を有するハイリスク患者に対し,血管内治療を行い救命治療に成功した1症例を報告した.

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