日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
重症虚血性心疾患と Leriche 症候群に対する OPCAB と上行大動脈-両側大腿動脈バイパスの同時手術例
高島 範之鈴木 友彰細羽 創宇木下 武乃田 浩光神原 篤志永吉 靖弘浅井 徹
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2012 年 41 巻 3 号 p. 152-155

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抄録

Leriche症候群では,腹部大動脈以下が完全閉塞しており,下肢の血流を補うために内胸動脈から下腹壁動脈を介して豊富な側副血行路が形成される.また,Leriche症候群は高率に虚血性心疾患を合併すると報告されており,冠動脈血行再建(CABG)と下肢血行再建を必要とする症例も存在する.内胸動脈をCABGのグラフトとして使用する場合,側副血行路が失われ,術後下肢虚血の悪化が危惧され,手術の術式や時期を十分検討する必要がある.症例は52歳,男性.間欠性跛行,動悸を主訴に精査をしたところ重症虚血性心疾患を合併したLeriche症候群と診断された.長期成績や手術のリスクを考慮し,下肢への血行再建は上行大動脈をinflowとしたバイパスが最良であると判断した.また,内胸動脈から下肢への側副血行が非常に豊富であり,同時血行再建手術が必要であると考え,心拍動下冠動脈バイパスと上行大動脈-両側大腿動脈バイパスを一期的に行った.術後経過は良好で合併症もなく退院となった.

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