日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
タクロリムスによる関節リウマチの治療中に大動脈解離を発症した1手術例
松崎 寛二今井 章人今水流 智浩軸屋 智昭
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2012 年 41 巻 3 号 p. 156-159

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抄録

タクロリムスによる関節リウマチの治療中に大動脈解離を発症した1例を経験した.タクロリムス服用例に対する大血管手術の報告は少なく,術後管理に工夫を要したので報告する.症例は関節リウマチのためタクロリムス(3 mg/日)とプレドニゾロン(10 mg/日)の内服治療を受けていた77歳の女性である.タクロリムスは重症関節リウマチに適応される免疫抑制剤の一つであり,プレドニゾロンの減量が可能であった.A型急性大動脈解離を発症したため,緊急に上行弓部置換術を施行した.術後はタクロリムスを再開せず,プレドニゾロン20 mg/日の内服のみで関節リウマチを制御した.関節リウマチに対する薬物治療の単純化が,難しい術後管理において有用であった.抵抗性胸水を伴う呼吸不全と廃用性症候群の克服に難渋したが,胸水穿刺による無気肺の軽減と非侵襲的陽圧換気を組み込んだ呼吸リハビリテーションも有効であった.

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