日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
開心術後の Stanford A 型急性大動脈解離に対する弓部置換術後に発生した中枢側吻合部 ulcer-like projection に対し開窓型ステントグラフトを留置した1例
山本 修青木 淳末澤 孝徳古谷 光久多胡 護櫻井 淳
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2013 年 42 巻 2 号 p. 132-136

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抄録

A型急性大動脈解離(DAA)術後の中枢側吻合部ulcer-like projection(ULP)に対し開窓型ステントグラフトを用いた胸部ステントグラフト内挿術(TEVAR)を施行した.症例は73歳女性.2009年1月に左房粘液腫に対する切除術,2011年11月にDAAに対する弓部大動脈置換術を施行された.DAA術後のCTで中枢側吻合部前方にULPを認めていたが術後72日目のCTで増大傾向にあり,さらに後方にも別のULPが出現した.3度目の開胸を避け,開窓型ステントグラフトを用いてTEVARを施行した.術後経過は良好で8日目に退院し,3カ月後のCTではULP内はほぼ血栓閉塞していた.DAAに対する人工血管置換術後の中枢側吻合部ULPに対して開窓型ステントグラフトによるTEVARは有用な治療法となる可能性がある.

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