2013 年 42 巻 2 号 p. 159-162
症例は31歳男性.仕事中に胸部を圧縮機械にはさまれた際,意識消失し,近医へ救急搬送された.搬入時意識は改善し,胸部レントゲンで異常を認めなかったため,特に加療されることなく帰宅された.しかし,受傷2日後に施行された胸部CTでStanford A型急性大動脈解離を認めたため,精査加療目的で同日緊急入院となった.入院後安静,降圧療法にて経過観察され,受傷後35日目に自宅退院となった.しかしCTにて上行大動脈径は拡大傾向であったため,当院で上行部分弓部大動脈置換術を施行された.術後経過は良好であり,術後16病日に退院された.鈍的外傷後,Stanford A型大動脈解離を合併することは稀であるが,文献的考察を加えて報告する.