日本心臓血管外科学会雑誌
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原著
エビデンスに基づく至適冠血行再建
——CREDO-Kyoto からの検証——
丸井 晃岡林 均小宮 達彦坂田 隆造The CREDO-Kyoto Investigators
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キーワード: PCI, CABG, オフポンプ
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2013 年 42 巻 1 号 p. 16-22

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抄録

冠血行再建治療において本邦からのエビデンスレベルの高い報告は限られており,依然個々の医師・施設の経験に偏りがちな治療選択が行われることも多い.CREDO-Kyotoは本邦初の初回冠血行再建患者の多施設レジストリであり,これから得られるエビデンスが現時点では本邦で最も信頼性が高いと考えられる.2000~2002年にCREDO-Kyotoに登録された9,877名のうち多枝または左主幹部病変を有する6,327名(PCI/CABG=3,877/2,450)を対象とした.中央観察期間は3.5年で,PCIのうち85%はベアメタルステントが使用された.プロペンシティスコア解析では,総死亡はPCIで有意に多く(ハザード比および95%信頼区間:1.37[1.15~1.63],p<0.01),心筋梗塞もPCIで多かった(1.82[1.34~2.47],p<0.01).脳卒中はPCIで少なかった(0.75[0.59~0.96],p=0.02).さらにEuroSCOREにより患者をリスク層別化しon-pumpとoff-pump CABGの成績を比較したところ,低リスク群(スコア0~3%),中リスク群(3~6%)では差を認めなかったが,高リスク群(≧6%)ではon-pumpで脳卒中発症率が高かった(1.80[1.07~3.02],p=0.03).しかし死亡に関してはリスクにかかわらず差を認めなかった.多枝または左主幹部病変を有する患者ではCABGはPCIに比して長期予後に優れていることが示された.また特にハイリスク患者の脳梗塞回避においてoff-pump CABGの有用性が示された.

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