症例は79歳,男性.5年間の血液透析歴あり.腹痛を主訴に前医受診,単純CTで腹部大動脈瘤破裂が疑われ当院へ搬送された.造影CTにて腎動脈下腹部大動脈瘤の破裂と診断した.腹部大動脈から両側総腸骨動脈まで著明な石灰化を認め通常の人工血管置換術が困難と判断したこと,形態的に腹部ステントグラフト内挿術(EVAR)が可能と判断したことから緊急EVARを施行した.中枢側からのendoleak(EL)に対し追加デバイスを留置しても消失しなかったことから,ステントグラフトの血管壁への圧着を増強する目的で金属ステントを上腸間膜動脈分岐部直下まで留置した.金属ステント留置によりELは消失したが,上腸間膜動脈の造影が著しく不良となった.ただちに開腹し大伏在静脈を用いて右外腸骨動脈-中結腸動脈バイパス術を併術した.術後CTでELのない良好な留置形態とバイパス血管の開存を確認した.術後2年経過した現在もバイパス血管は開存し,ELや瘤径の拡大は認めていない.