2013 年 42 巻 3 号 p. 197-199
症例は68歳男性.胃癌手術,膀胱癌に対してBCG膀胱内注入療法の既往があった.早期胃癌術後の経過観察のため当院消化器外科で撮影したCTにて不整な径64 mmの腹部大動脈仮性瘤を指摘された.活動性の感染瘤と考え,両側腋窩大腿動脈バイパス,瘤切除,大網充填術を行った.術中組織培養よりガフキー陽性,その後の遺伝子解析にてウシ型結核菌Mycobacterium bovisであることが判明した.術後イソニアジド,リファンピシン,エタンブトールの内服を開始した.術後腹壁離開のため再縫合を要した他は経過に問題なく退院された.BCG膀胱内注入療法は表在性膀胱癌の再発予防や尿路上皮内癌に対する有効な治療として確立されているが,稀ながら重篤な有害事象も報告されており,注意が必要であると考えられた.