日本心臓血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1883-4108
Print ISSN : 0285-1474
ISSN-L : 0285-1474
原著
Hybrid arch TEVAR 術後に合併した脳梗塞症例の検討
藤吉 俊毅松田 均堂前 圭太郎伊庭 裕田中 裕史佐々木 啓明湊谷 謙司小林 順二郎
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 42 巻 4 号 p. 255-259

詳細
抄録

ハイリスクを有する弓部大動脈瘤患者に対する頸部動脈バイパス術を併用したHybrid arch TEVAR 62例のうち脳梗塞を合併した5例について検討した.2例は弓部から下行大動脈にかけて高度な粥状変化を認めるいわゆるshaggy aortaを呈し,バイパス術後もしくはTEVAR後に多発性の脳梗塞をきたし長期入院の後に感染を契機に失った.他の3例は右腋窩-左総頸/左腋窩動脈バイパスの後TEVARを行ったが,全例がTEVAR後に視覚障害で発症した.責任血管は椎骨動脈の分枝である後大脳動脈と後下小脳動脈であった.バイパス後の血流動態からは,大動脈内で発生した塞栓子が左鎖骨下動脈から左椎骨動脈を介して脳塞栓症をきたしたと考えられた.

著者関連情報
© 2013 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top