日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
Axillofemoral bypass graft stump syndrome に対しステント留置術を施行した1例
石川 和徳河原井 駿一浜崎 安純阿部 和男柳沼 厳弥
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2013 年 42 巻 1 号 p. 38-41

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抄録

症例は55歳,男性.6年前にB型大動脈解離を発症,腎動脈下腹部大動脈で真腔が閉塞して下肢虚血を生じ,緊急的に右腋窩-両側大動脈バイパス術を受けた.以降,他院にてワーファリンによる抗凝固療法を継続されていた.3年前に右上肢血栓塞栓症に対して血栓除去術が施行された.その際の造影CTではすでに人工血管は閉塞しており,腹部大動脈の真腔が拡大して下肢動脈は真腔から灌流されていた.今回,右上肢血栓閉塞症を再発して来院した.血栓除去後の血管造影で,人工血管吻合部の腋窩動脈の蛇行と閉塞した人工血管中枢側にpouch形成を認め,同部位から浮遊する血栓像を確認した.吻合部の蛇行およびpouchが塞栓源と判断し,蛇行の解除およびpouchからの血栓遊離の予防を目的とし,血栓除去に引き続いて同部位にステントを留置した.塞栓源となる吻合部への処置として,ステント留置術は有用な選択肢になりうると考えられた.

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