2013 年 42 巻 5 号 p. 442-446
症例は女児.在胎41週1日,体重3,032 gで仮死なく出生し,生直後より心雑音とチアノーゼを認め心エコー検査にて総動脈幹症・大動脈弓離断症と診断された.同日よりプロスタグランディン製剤の持続静注が開始され,当院NICU緊急搬送された.肺血流増多に伴う多呼吸・尿量減少がみられたため,11生日に両側肺動脈絞扼術を施行した.術後に心不全症状は改善し体重増加が得られ,生後2カ月時に根治手術を行った.胸骨再正中切開下に心・大血管周囲を剥離した後に,腕頭動脈および下行大動脈送血を併用した上下半身分離体外循環下に大動脈弓再建(拡大直接吻合)し,心停止下に右室切開を置きVSDを閉鎖した.大動脈遮断解除後にあらかじめ作製しておいた二弁付12 mmGoreTex人工血管を用いて右室流出路再建を行った.人工心肺離脱は特に問題なく,開胸状態で手術を終了し3病日に閉胸し4病日に人工呼吸器を離脱した.術後に右横隔膜の軽度拳上に伴う頻呼吸があったが徐々に改善し,49病日に退院した.