日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
下肢虚血を合併した Stanford B 型急性大動脈解離に対する人工血管置換術後 MNMS の救命例
捶井 達也池田 真浩
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2013 年 42 巻 1 号 p. 50-53

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抄録

症例は52歳,男性.2011年9月,突然の胸背部痛と下肢の痺れを訴え当院に救急搬送された.CT検査でStanford B型急性大動脈解離と診断した.腎動脈以下の血栓化偽腔の圧排によって左総腸骨動脈の高度の狭小化を認めた.下肢の虚血解除を目的に緊急大腿動脈交叉(F-F)バイパス術を施行し左下肢の症状は消失した.しかし入院4日目に突然,両下肢の安静時痛およびチアノーゼが出現した.CT検査で血栓化偽腔の増大のために腎動脈下大動脈真腔が高度に狭小化していた.緊急開腹人工血管置換術を施行し,下肢血流の再還流をえた.術後血行再建後症候群(myonephropathic metabolic syndrome : MNMS)を併発し,急性腎不全に対して持続的血液濾過透析(CHDF)を行った.経過中に心室細動も発症し,術後管理に難渋したがその後,自尿を認め透析から離脱した.Ankle brachial pressure index(ABI)も改善し,入院34日目に麻痺なく独歩で退院した.

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